「工賃」とは、就労継続支援B型制度の利用者が生産活動を行うことで得る、成果報酬のことを言います。仕事内容は事務所によって異なりますが、利用者の体調やできる範囲に合わせた比較的軽度の製造・事務などの作業が用意されています。

雇用契約を結ばない就労継続支援B型では、労働に対する給料ではなく、作業によって得た収益を「工賃」と呼ばれる成果報酬として利用者に配布しています。

工賃の算出方法

工賃の算出方法は、利用者の作業によって得られた収益から、作業にかかった必要経費を差し引きし、残った金額を作業した人数で割り分配します。必要経費には事務所の経営費用や職員の方の人件費は含まれていないため、純粋に作業にかかった費用のみが控除されています。

事務所によっては、一日出勤できたら賃金がもらえるところや、作業によって作った商品の出来高によって工賃が決まる事務所もあります。作業内容や金額は事務所ごとにさまざまに定められているので、利用を希望する場合は事前に確認しておくといいでしょう。

就労継続支援B型の工賃平均金額

国が発表している資料によれば、平成30年度の国内の工賃平均金額は月に16,118円でした。平成29年は15,603円であったので、一年間で515円アップしていることになります。

雇用契約を結ばずに働く就労継続支援B型は、就労継続支援A型や国で定められた最低賃金に比べるとかなり低くなっています。しかし、都道府県や自治体によって工賃の違いは大きく、月に2万円を超えている自治体もあります。

就労継続支援B型 作業例

就労継続支援B型の事務所での作業にはさまざまな物があります。

  • コーヒー豆の袋詰め、ピッキング
  • データ入力
  • インターネットでのショップの運営
  • ボールペンの組み立て
  • シール貼り
  • ポチ袋作り

など、ジャンルも作業方法もさまざまです。

就労継続支援B型事務所での平均労働時間は週22時間程度といわれていますので、1日5時間ほどの仕事を週に5日行えば平均的な工賃を稼げる計算になります。

工賃向上の取り組み

工賃は国の最低賃金を大きく下回り、自立した生活ができる金額であるとは言えません。そのため、国が「工賃向上計画支援事業」を起こし工賃の向上に向け取り組みをはじめています。まだまだ十分な金額であるとは言えませんが、工賃は年々増額されている傾向にはあるのです。

まとめ

「工賃」は就労継続支援B型制度の利用者の体調や、作業できる仕事内容によっても左右されます。障害を持った人や難病を抱えた人が、自分のペースで無理なく仕事をするためにつくられたのが就労継続支援B型制度です。仕事をするためのリハビリとして、体調や気持ちに無理をせず、気長に続けていくことが大切ではないでしょうか。